Amazon Lightsailとは? 影が薄いけど実は良いサービスなので、EC2と比較したメリットとデメリットを解説します

Amazon Lightsailは、AWSが提供するVPSサービスです。WordPress環境を数クリックで構築できることができます。 実際に使ってみると安くてユーザーが欲しい機能を抑えている良いサービスなのですが、知名度が高くないので、Lightsailが適しているケースなのにEC2を選択してしまっているケースをよく見かけます。

この記事では、EC2と比較したLightsailのメリットとデメリットを、実際に会社ホームページをLightsailで運用している弊社の目線で解説します。

目次

Amazon Lightsailとは?

Lightsailは、簡単な操作でクラウドリソースを迅速にデプロイし、管理することを目的として設計されたVPSサービスです。主に小規模なアプリケーションや開発・テスト環境、個人プロジェクトなどに適しています。

Lightsailの特徴として、Blueprintで選択することでWordPress環境が構築された状態(WordPress + Apache + Mariadb)のインスタンスを起動することができます。WordPress以外にもNginxやGitlab CEなどがBluePrintとして提供されています。

Lightsailのメリット

小規模の利用ならEC2より圧倒的に安い

Lightsailは、月3.5ドルから利用できます。EC2で同構成(t3a.nano + EBS(gp3) 20GB + Public IPv4)にすると約10ドルかかるので、かなりお買い得です。

以前からLightsailの方が安かったのですが、EC2のPublic IPv4に月3.6ドルかかるようになったため、その差がさらに広がりました。Lightsailには静的IPv4アドレスが無料でついてくるのでIPアドレスの固定もできます。

※ 残念ながら、2024年5月からLightsailもPublic IPv4アドレスに追加料金が発生するようになり、月5ドルに値上げになりました。 参考リンク

WordPressの構築が一瞬でできる

Lightsailは非常にシンプルなサービスでマネージメントコンソールで数クリックするだけでWordPress環境が構築できます。

例えば、EC2を建てる時に意識するVPCやIAMについて考える必要がありません。そのため、AWSにあまり慣れていなくても使いやすいサービスになっています。

AWSの他のサービスとも組み合わせることができる

LightsailはS3/RDS/ALB/CloudFrontなどの他のサービスと連携させることができます。

例えば、LightsailではEBSのスナップショット機能が利用できるので、1週間分のスナップショットを自動取得することができます。

注意点は、Lightsailと連携させるサービスは、料金体系がオリジナルと異なっていることです。

例えば、LightsailからCDN(実体はCloudFront)を利用できますが、1年間無料期間の後は最低10ドル発生します。一方で、CloudFrontをそのまま利用する場合は毎月1TBの転送まで常時無料枠があるため、1TB以下の転送量の場合はLightsailは割高になってしまいます。

弊社では、裏技的な使い方としてオリジナルのCloudFrontのオリジンサーバーとしてLightsailを設置しています。 前述した通り、Lightsailには静的IPアドレスが無料でついているため、1TB以下のトラヒックであれば、月3.5ドルだけでCloudFrontを利用した高速な配信が可能です。

CloudFrontでキャッシュをすることで、Lightsailへのアクセスがほとんどなくなり、低コストなインスタンスで十分リクエストを捌き切れています。

Lightsailの料金について詳しく知りたい場合は、料金ページを参照ください。

Linuxサーバーとしてログインできる

これは、主に他社のVPSサービスに対するメリットになりますが、LightsailはSSHでログインすることができます。 WordPressの各種設定ファイルを編集できるので、柔軟にサーバーの設定を変えることができます。 EC2より機能は限定されていますが、Linuxサーバーとしてログインできるのである程度の柔軟性はあります。

Lightsailのデメリット

WordPressの設定が分かりづらい

LightsailのWordPressは、BItnami のパッケージでインストールされています。Let’s Encryptで簡単にTLS証明書を発行できるbncert-tool など便利なコマンドラインツールが入っているところは良い点ですが、ディレクトリや設定ファイルの構成が標準と異なっているためネット上の記事の通り設定しても動かないことが多々あります。

特に、.htaccessがデフォルトだと無効化されていることでWordPressのプラグインをインストールしても動かないことが発生しがちです。例えば、画像をWebPに変換するプラグインには、JPGやPNGへのアクセスをWebPに変換する設定をするものが多いですが、.htaccessを編集して実現しているためLightsailだと初期状態では動きません。

スケールアップができない

LightsailはVPSサービスなので、EC2のようにスケールアップはできません。ただし、LightsailにはEC2インスタンスへ変換する機能があるので。 スケールアップをしたりLightsailが対応していないサービスと連携させたくなったらEC2にすることはできます。

インスタンス構築時にSSHが0.0.0.0/0に対して許可されている

これは、LightsailのサービスのデメリットというよりUI上の問題ですが、インスタンスを構築する際にSSH可能なIPアドレスを指定することができず、0.0.0.0/0に対して許可されてしまっています。

セキュリティ上危険なので、Ligthsailのインスタンス構築後はすぐにNetworkingタブからSSH可能なIPアドレスの範囲を小さくすることをおすすめします。

まとめ

本記事では、影の薄いLightsailについて取り上げました。弊社のホームページでも使用していますが、シンプルで安定した良いサービスだと思います。

最低料金の月3.5ドルのインスタンスは2vCPU/512GB Memoryと貧弱な構成ですが、CloudFrontのキャッシュ機能と組み合わせることでLightsailへのリクエストを減らすことで十分利用できるレベルになります。 これから自社ホームページを立ち上げる時の選択肢に入れても良いのではないでしょうか。

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CD

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